
ゲーム会社のウィメイド( Wemade )が、独自発行した暗号通貨(ウィミックス, Wemix)を予告なしに大量に売り渡した事実が明らかになり、波紋が広がっている。この事実を確認したコイン投資家たちが投売りに乗り出し、10日、一時30%ほど急落した。ウィミックスの価値に影響されるウィメイド株価も大幅に下落した。コインを売却したことは法的な問題はない。しかし、投資家と株主への考慮なしに市場に衝撃を与えたのは、コスダック時価総額6位の企業らしからぬ無責任な行為だったという指摘が出ている。
ウィメイドの株価は11日、8.84%急落の13万8100ウォンで取引を終えた。昨年11月のピーク比43.7%低い水準だ。取引中の下げ幅は15%に達した。株価急落を触発したのは仮想通貨ウィミックス価格だ。前日、仮想通貨取引所のビッサム( Bithumb )でウィミックスは取引中30%近く下落した。昨年11月、2万8000ウォンまで上がったコイン価格が4800ウォンに下がった。ウィメイドが、ウィミックスを大量に売り渡した事実が明らかになると、コイン投資家たちが大挙売りに出た影響だ。
ウィミックス価格は同日、急反発に成功した。アップビート( Upbit )上場のニュースを受け、ウィミックスは50%以上上昇した価格で取引された。前日安値で損切りした投資家たちをさらにがっかりさせた。ウィミックスの価格が急騰したものの、ウィメイドの株価にはすべて反映されてはいない。投資家が不確実性が高まったと判断した影響だ。
ウィメイド社は、保有物量を処分したという事実を認めたが、具体的な処分時期と規模は公開しなかった。業界は、処分個数が5000万個(2000億~3000億ウォン)に達するものと見ている。ウィメイド関係者は「ウィミックスの売却金額で投資を拡大すれば、ウィミックスエコシステムに役立つ」と述べた。ウィミックスを通貨で使うゲームが増えれば、ウィメイドの株価にも役立つという主張だ。法的には問題ない。ウィメイド社は、投資拡大のため、ウィミックスを販売するという計画を白書を通じて明らかにしたからだ。
しかし、専門家らは、無責任な行為だと指摘した。ある仮想通貨情報プラットフォーム関係者は「予告もなく株式市場で大規模な自社株を売却したのと似ている。白書に売りを予告したというが、このように一度にびっくり爆弾で投げることはまれだ」と述べた。大手コイン会社各社は、グーグルのような公示フラットフォームに対し、売り渡しを予告するケースが多いという意味だ。
ウィメイド社は、ウィミックス売り資金でさまざまな買収合併に乗り出している。サンデートーズ( SundayToz )を1367億ウォン(約132億円)で買収し、800億ウォン(約77億円)を投資してビッサム運営会社「ビデント( Vidente )」の2大株主に浮上した。今後も、事業拡張のためコインを売却する計画だ。
○成功万能主義
ウィメイド社は、2020年まで市場での存在感がほとんどなかった。長期間ヒットせず、株価は5年間下落し続けた。昨年8月に『ミルの伝説4』を発売し反転が起きた。ゲーム内で稼いだお金を自社が発行した暗号通貨(ウィミックス)に交換して現金化するシステムを披露した。韓国で具現化したP2E(play to earn=金儲けゲーム)生態系としては最も成功だった。市場は歓迎した。2万4000ウォン台だった株価は3ヵ月間で10倍も値上がりした。
しかし、ウィメイドが何の予告もなく大量売却し、コイン投資家、ウィメイド株式投資家をはじめ、P2Eゲームを開発する会社にまで被害が拡大した。法的な問題もなく、事業拡大のための売り渡しだったと、会社側は説明した。しかし、「事業成功のためなら、善意の被害者が出てもかまわない」というテック企業経営陣の認識への批判は避けられない見通しだ。
テック企業は、成功にこだわるしかない。スタートアップを始めた理由だからだ。このような慣性は、成長した後にも続く。規模が大きくなった後は、利害関係者が多くなる現実を認め、彼らと共に行動しなければならないが、彼らの考えは違う。「しっかりしたサービスさえ出せばいい」と認識している。
最近成功したテック企業がぶつかる問題だ。カカオペイ経営陣がストックオプションを行使し、株式を大量に売り渡したのが、最近起きた成功至上主義の代表的な例だ。彼らの行為に法的な問題はない。しかし、経営陣を信頼し、投資した株主らを無視した行動だという批判が起きた。結局、最高経営陣は辞任せざるを得ない状況になった。
ウィメイドは、個人的な利益ではなく、会社の事業成功のために各種利害関係者を無視した事例だというのが市場の評価だ。前日、ウィミックスを売り渡した事実を把握したコイン投資家たちが、会社に釈明を要求したが、会社は公式立場を示さなかった。コイン価格が下落すると、コイン価値と連動したウィメイドの株価も急落した。
ウィメイド関係者は「ウィミックスの売却代金でゲームの生態系を拡張すれば結局、ウィミックス価格も上がるため何の問題もない」と説明した。また、白書に「生態系の拡張のために物量を売却できる」と明示しているため、制度的にも問題がないと付け加えた。
しかし、短期的に被害者は量産された。コイン価格が反発する前に低価格で販売したコイン投資家が代表的だ。同日、ウィメイドの株価急落で株主も被害を受けることになった。コイン業界の関係者は「投資家が多ければ売り予告をしたり、株式保護イエスのようにロックアップも設定するが、ウィメイドは最小限の装置もしていないようだ」と述べた。
被害はこれにとどまらなかった。これから始まる国内のP2E生態系全般に対する懸念が高まり、他のゲーム株も同日急落した。P2Eゲームを開発するコムトスホールディングスは同日、10.23%急落した16万3200ウォンで引けた。
問題の核心は、基軸通貨の役割を果たす仮想通貨の信頼性にひびが入ったことだ。ウィメイド社がウィミックスコインを売り渡したのは、ゲーム会社を買収し、P2E生態系を拡張するためだ。ウィメイド社が、各種の買収合併(M&A)代金をウィミックス売りを通じて調達することは、投資家も知っていた。ここまでは問題ないが、処分方式や投資家を巡る態度は議論を呼ぶのに十分だ。別途の予告なしに数千億ウォンの物量が場内に流れ込み、価格は一時的に急落した。投資家の間では「会社がいつ、どれだけ物量を出すか分からないのに、どうやって信じて投資するのか」という反応が出ている。白書に「発行会社が全体物量の74%を売り渡すことができる」という規定があることが後になって分かり、個人は投売りに乗り出した。
ウィメイドが目標としたP2E生態系を具現するためには、ウィミックスコインの相場が高く維持されなければならない。 ウィミックスを使用するゲーム会社を増やすためには、大規模な買収合併が必要だからだ。
記者 パク・ウィミョン [email protected]
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